人間、大丈夫じゃないときのほうが多くない?
夜空に浮かぶ欠けた月たち(p92)
どんな本?
人生の中で、くじけてしまう時期というのはきっと誰にも訪れるものなのでしょう。
この作品は、「純喫茶・純」と「心療内科 椎木メンタルクリニック」を取り巻く登場人物たちが少し心を休め、そんな時期を乗り越えようと変わっていく様子が描かれた短編集です。
- 純喫茶・純:亡き父の跡を継いだ純さんが営む煉瓦造りの古風な喫茶店
- 椎木メンタルクリニック:小さな庭のある一軒家で夫婦二人が営むクリニック
こんな日に読みたい
本当は”大丈夫”じゃないのに、他人や自分に対しても大丈夫なふりをしてしまう。
そうしているうちに心にぽっかり穴が空いてしまった、そんな日に読みたい作品です。
この作品を読み終えたら、強く完璧である必要はないのだと、
自分に少し優しくなれるかもしれません。
大丈夫じゃないことを誰かに共有できるようになるかもしれません。
同じように悩みを抱える登場人物たちの変化にも勇気をもらえるでしょう。

書籍の情報
| タイトル | 夜空に浮かぶ欠けた月たち |
| 著者名 | 窪美澄 |
| 出版社 | 角川書店 |
| 出版日 | 2023/4/11 |
| ページ数 | 236 |
目次
- キャンベルのスープ缶
- パイプを持つ少年
- アリスの眠り
- エデンの園のエヴァ
- 夜のカフェテラス
- ゆりかご
- エピローグ
まにまに話(ブログ主の読了後談)

「病んでいる人」と認めることに抵抗を感じる心情が描かれていましたね。
大丈夫じゃないことに気づかないふりを続けるより、状態を正しく知ることで自分に優しくできる理由にもなるはず、なのに認め難いのは、やはり世間的にネガティブな印象を拭いきれていないからでしょう。
作中で、バイトの澪ちゃんが「はい。私、頑張りすぎていました」(引用元:『夜空に浮かぶ欠けた月たち』p92)と言えるようになった場面がありました。「病んでいる人」という一線を引くような呼称よりもこれぐらいの捉え方ができるといいですね。
実際、精神疾患を有する日本の総患者数は平成17年では約302.8万人、令和5年では約603.0万人となっており20年で約2倍に増加していることがわかっています。具体的な疾患名はついていないけれども心療内科を受診した人数はもっと多いのではないでしょうか。
自分にも他人に対しても”大丈夫”と気づかないふりをするのではなく「今頑張りすぎてます」とSOSを出しやすく、「頑張りすぎてない?」と声をかけあえる社会にしていきたいものです。

私も「大丈夫です!」と即答してしまいがちです・・・
ところでさおり先生が話していた「考え方の癖」ってどんなもの?
「考え方の癖」についてわかりやすいと思ったサイトを下の参考記事に記載しました。
自分の考え方チャートを作ることができるサイトもあったので、気になった方は是非見てみてください。まずは自分にどんな考え方の癖があるか気づくことが大事なんですね。
ちなみに私は特に「べき思考」が強いようでした。
たしかに真面目な人間に思われることも多く、家族からは私がルールやマナーに目ざとい人間であるかのような言われ方もします。周囲の評価を気にした選択や安全な選択ではなく、自分が本当はどうしたいのか心の声を聞いて、もっと自由な人間になってみたいですね。
ルールやマナーは守るべきだと思いますが・・・。

一歩立ち止まって考え直すきっかけになりますね。
べき思考、まさに甘え下手の典型でしょうか。
かつて有名な茶人・千利休が不完全さに美を見出したように、私たちもまた人間の不完全さを愛し、その不完全さに寄り添い、補い合う過程を楽しめるようになりたいものですね。
私は最近、そのことを水族館で実感しました。
ペンギンもアザラシも、飼育員さんの思い通りには動きません。ですがその自由さが可愛いですよね。それはイルカショーも同じで、私は今までショーは完璧な技を見せるものとばかり思い込んでいましたが、むしろイルカたちの気ままさや練習途中であることが見えたあのショーにこそ、ほっこり元気をもらえたのです。
また会いにいきたいと私は彼らに魅了されました。
生きているだけで皆愛される存在。不完全さを愛してみませんか。
優しいばかりの世界じゃないけれど、そんなふうに生きたいと思いました。
最後に、こんなマインドで自分を甘やかせたら良いなと思った歌詞を引用します♪
この記事を読んでくださった皆様が、時に心の休息をとりながら自分らしく過ごせますように。
一人じゃなんも出来ない我ら カワイイもんね?
歌詞引用:GOOD DAY by Mrs.GREEN APPLE
参考記事:
・厚生労働省「精神保健医療福祉の現状等について」精神疾患を有する総患者数の推移
・HELiCO「不安を軽くするために。「思考のクセ」を見直そう」
・COMHBO地域精神保健福祉機構「考え方のクセとは何か?」(考え方チャートはこちら)